【原色実験】

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でね…。 私がリビングのスクリーンに映し出された白い光に感動していると、 主人が「もっと面白い物を見せてあげるよ」 って、言い始めたんですよね。 そして… いつの間にやら、彼は手に分厚い一冊の本を持ってまして…。 私が「あ、その本… もしかして、私が前にアトリエの本棚で見た本なんじゃ?」 と、思っていると… 主人は、その本を開いて、何やら『ブツブツ』と、 意味不明の呪文みたいな言葉を唱え始めたんですよ。 そしたら…何と! 目の前の白くて丸い光が! 段々と段々と… 『黒っぽく変わり始めた』んですよ! そりゃもう! 私は、びっくりでスクリーンに釘付けです! 主人は、意味不明の言葉を唱え続け… それと同時に… 目の前の真ん丸な白い光が… 段々と黒くなって行きます! 最初は、白から灰色に変わって… そして、段々と黒色が濃くなって行って… そして! やがては! 本当に真っ黒で大きな光になったんです! 先生!! 一体全体『黒い光』なんて物が… この世に有ると思いますか?! 有る訳が、無いですよね! だって!それって! 『光』じゃなくて… 『影』とか『闇』じゃないですか!! 私は!何かもう、訳が分からず、気分が悪くなって、主人に「もう!悪趣味な手品は止めて!」って、言おうとしたんですけど! 何と! どう言う訳か! 声が全く出せないんです! それどころか! 体も動かせないんですよ! でも…主人は、 そんな私の様子を無視して、相変わらず、訳の分からない言葉をブツブツと唱え続けています! だから、私は… 目の前のその真ん丸で大きな『黒い影』を… ただただ、見詰める事しか、できませんでした!
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