第一章 永笑-とわ-

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その洗脳のせいで、僕は幼稚園の頃、父はウルトラマンや仮面ライダーよりもすごいヒーローなんだと友達に自慢をしていた。 しかし小学校に入り、色々な知識が増えていく頃には、父はヒーローなんかじゃないという事に少しずつ気づいていった。 そして小学校三年生の時、僕は生死を彷徨うことになる。 母と海へ遊びに行った時、金づちだった僕は浮き輪を持ち、沖の方へ進んでいった。 母はビーチパラソルの下で購入したての文庫本を読んでいた。時折、顔を僕に向け、本を閉じて手を振る。 遠くて顔は良く見えなかったが、母に応えようと僕も小さい手を振り返した。 その時、急に僕の足首に何かが絡み付いて引っ張った。
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