第一章 永笑-とわ-

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その声が耳元で響くのに合わせ、目が覚めた。 いつの間にか仰向きに寝かされていた。右には母、左にはライフセーバーの男性が居る。 海水をたらふく飲んでいた僕は、お腹を押される度に泣きながら口から海水を吐き出していた。 心配そうに涙を流しながら僕を見つめている母と必死に「大丈夫か」と呼びかけるライフセーバー。 意識は朦朧としているが、命が助かったことだけは幼い僕にもわかった。ただ、意識を失った時に見た男性が僕に投げかけた「俺は……いつ死ぬ?」という言葉だけが頭から離れなかった。 それから二時間、病院に行くことを拒んだ僕は海の家で眠っていた。
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