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「首の無い人を見た」とか、「足の無い女がいる」などを母に言い続けて、二年が経とうとしていた頃、母は自分には見えないモノが見えている僕を心配し、色々な病院に連れて行くようになる。
様々な精密検査をしたが、何も悪い所は無くどこの病院に行っても診断結果は健康そのものだった。
その日から僕は、母に心配をかけないように、何が見えても母に伝えることはなかった。
母と話す内容は、学校でのことが大半を占めるようになる。
母は朝から晩まで働いていたせいもあり、僕は家に帰っても出前をとったり、インスタント食品を食べたりと、栄養の偏った生活がしばらく続いた。
家で一人留守番をしているときも、天井を這い回る女を見たり、部屋の隅にうずくまる老婆を見たりもした。
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