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そんな日が続いたところで、夜遅くに帰ってくる母に、死んでいる人間を見たことだけは言えなかった。
いつからか、健康体だった僕の身体は少しずつ弱くなっていった。運動するとすぐに疲れたり、朝礼中に貧血で倒れたりと、他の生徒と比べると元気が無い小学生だった。
「首が無い子供が廊下を歩いている」と同級生に言っても、誰にも信じてくれない。
仲良くなった同級生に、真剣な顔で「僕、死んだ人が見えるんだ」と相談しても変人扱いされるだけ。
小学校も六年生になる頃にはどんどん内向的な性格になり、僕はほとんど学校で喋らなくなっていた。永笑という名前に逆らうように、全く笑顔の無い子供へと成長していく。
そして中学時代、全く喋らない僕はイジメの標的になる。
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