第一章 永笑-とわ-

11/22
前へ
/258ページ
次へ
朝、学校に来たら上靴が消えていることは当たり前。机や黒板には、心に突き刺さるような落書き。酷い時には、机の上に一輪の花が置かれていることもあった。 教科書には『死ね』『学校に来るな』『キモイ』などの落書きがビッシリ書かれていた。 僕はクラスのみんなから、人として扱われて居なかった。水槽で飼われている亀以下の存在だ。 『なんでみんな僕を嫌うの? 僕が喋らないから? 同じ人間なのに……何故?』 死んだ人が見えてしまう僕にとっては、死んだ方が何も考えず楽になれるのかもしれないと真剣に考えるようになる。誰にも干渉されずに街を彷徨いたいと心から思った。 でも、その時の僕には死ぬ勇気すらなかった。学校にいる間、時間が早く過ぎるのを祈ることしかできなかった。
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加