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「先生、私はあと何日生きていられるかねぇ?」
目の前に座る患者が寂しげな表情で僕に問い掛ける。
患者の名前は比嘉奈緒美。彼女は自分が末期の大腸癌であることが分かった日から、診察の度にこの台詞を口にする。
「比嘉さんの年齢なら進行も遅いですし、今は転移も見つかっていませんのであと何日生きられるなんて考えなくても大丈夫ですよ」
僕がそう言って微笑むものの、比嘉さんは浮かない顔で診察室から見えるコバルトブルーの海を見つめた。
「だけども先生、私はなんとなくわかるんだよ。自分の腹ん中が大変な事になってるくらいわさ。眠ってるとお父さんがそろそろ来るんかって顔で私を見つめてくるんだ」
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