第一章 永笑-とわ-

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「その猫、君に伝えたかったけど、伝えられなかったことがあるらしい」 「ミケは二週間前、急に家から出ていった以来戻って来ないの。それより何であんたがミケのこと知っているのよ! ミケの特徴も全部当たっているし」 咲希は大声を出しながら僕に詰め寄る。 「ミケは、ミケは今も君のそばにいるよ」 「は? いなくなったって言っているじゃない! もしかして、あんたが私のミケを誘拐したんじゃないの?」 どんどん声を荒げていく咲希に反して僕は冷静に答える。 「確かに、ミケはもうこの世にいない。でも、君に伝えなきゃいけないことがあるから、死んだ今も君のそばにいるんだ」 「なんで? なんでそんな人を傷つけるような嘘が口からペラペラ出てくるの? 信じられないんだけど……」
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