第一章 永笑-とわ-

15/22
前へ
/258ページ
次へ
「ミケは、謝っているよ。君が大切にしていたリボンや、髪留めを隠したこと。君がおもちゃを持って、必死に遊んでくれようとしたのに、無視して家の外をうろうろしたことも。君の優しさに本当はもっと甘えたかったみたい。でも、恥ずかしくてそれが出来ないまま死期を迎えたんだ。猫は自分の死期が近づくと、飼い主から去ろうとする。だから、君の目の前から、急に居なくなってしまったんだ」 僕がその話をした瞬間、咲希の目から大粒の涙がこぼれた。すると、泣いている咲希と僕を囲むように、クラスの女子が集まってくる。 「うわー笠井、最低! 咲希のこと泣かせやがった。最悪。あんたなんかこの世から居なくなればいいのよ!」 クラスの女子に囲まれて罵声を浴びせられる。
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加