第一章 永笑-とわ-

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「違う! 私が悪いの!」と大声を出して机を勢いよく叩いた咲希は、走って教室から出て行く。 僕に罵声を浴びせていた女子たちも唖然とした顔になり、教室から飛び出した咲希の背中を見送っていた。 その日の放課後。 教室の黒板に書き込まれた自分への心無い言葉を消している僕に咲希は話しかけてきた。 「ちょっと、後で話があるんだけど……」 「え? う……うん」 掃除をいつも押し付けられる僕は、教室を出るのがいつも最後だった。しかし、この日は何故か咲希が手伝ってくれた。 掃除も終わり、教室の中には僕と咲希の二人だけになった。
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