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僕達二人は何も会話することなくカバンに教科書を詰め、帰る準備を始める。
その時、咲希が意を決した顔で突然話を切り出した。
「さっきはごめんね」
「い、いや、全然気にしてないから」
咲希の意外な言葉に、僕は戸惑った。
「リボン隠したの、ミケだったんだね」
「うん」
「ミケとさ、話したりできるのかな?」
「僕が伝えるよ。ミケは今も春日さんのそばにいるから」
僕がそう答えると、咲希はニッコリと笑って話を始めた。
「ミケ、聞こえる? 私に謝ったりなんかしないでね。私はそんなに弱くないし、リボンを隠したからってミケのこと嫌いになったりなんかしないから。ミケにとって私はいい飼い主だったかな? エサをやり忘れたり、しっぽ急に握っちゃったり、私のほうこそ迷惑かけてばっかりだったよね、ごめんね。もし、ミケがまた生まれ変わることができたら、また私の所へ帰ってきてくれるかな? 今度はいっぱい一緒に遊ぼうね。だから、今はゆっくりとおやすみ……」
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