第一章 永笑-とわ-

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この日の事がきっかけで、僕と咲希は仲良くなり、色々な話をするようになった。 咲希にだけは、心を開いて何でも話せた。咲希はこの時の僕にとって唯一、霊が見えることを信じてくれる女の子だった。 咲希と仲良くなると同時に、僕に対するイジメも無くなっていった。咲希のおかげで僕は学校が少しずつ楽しくなってくる。 そんな中学三年の夏、職員室に一本の電話が入った。 廊下から勢いよく走る足音が教室に近づく。何事かと思いながら扉の方に視線を向けると、深刻な顔をした担任が教室の扉を豪快に開けて、僕に小走りで近づいてくる。 「笠井、今職員室に電話が入ったんだが……お前のお母さんが交通事故にあって、病院に運ばれたそうだ……」 その言葉を聞くと同時に思考回路は停止する。まるで時間が止まったような感覚だった。
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