第一章 永笑-とわ-

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母の通夜に来た人は二百十五人。 ほとんどの人が涙を流し、早すぎる母の死にショックを受けていた。 『僕が死んだら……これだけ多くの人が参列してくれるのだろうか』 僕はそんなことを考えながら、灰色の粉になってしまった母の骨を拾っていた。その時、手前にいる親戚の叔父の目の周囲に黒い斑点があることに気づく。初めは年齢による染みだと思ったが、それにしては多すぎる。 「おじさん、目どうしたの? 周りになんか黒い斑点みたいなのがいっぱいついているけど……」 「へ? ほんと? 朝、鏡見た時はそんなの無かったけどな。知らない内に汚れとかがついたかもしれないな。ありがとう永笑君、後で洗ってくるよ」 それから数時間後、叔父は困ったような笑顔で僕に話しかけて来た。
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