第一章 永笑-とわ-

22/22
127人が本棚に入れています
本棚に追加
/258ページ
「永笑くん、トイレの鏡で見たけどそんな黒い斑点なんて無かったよ? 嘘はいけないなー嘘は」 しかし、その言葉を言っている叔父の目を見ると、黒い斑点は未だに消えておらず、数時間前に見た時よりも一層濃くなっている。 それを伝えようか伝えまいか迷ったが、結局伝えないままその日は終わった。 次の日の朝。叔父は、急性心筋梗塞で亡くなった。 その日から僕は、人の顔を見るだけで、その人がいつ死ぬかがわかるようになる。 母の死と同時に、その能力は僕に与えられてしまった。 そして、十三年の月日が流れる――――。
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!