第二章 咲希-さき-

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平成二十七年四月。二十八歳になった僕は、大手運送会社で働いていた。 中学の時のような内向的な性格は消え、会社の人ともうまくいっている。友人も沢山できたが、霊が見えるという話は誰にもしていない。 母が死んでから親戚の家に預けられ、三年程お世話になったが、就職すると同時に一人暮らしを始めた。 母の親戚は親切で、とても優しくしてくれたが、僕の性格上、その優しさにずっと甘えることはできなかった。 一人暮らしも十年近くすると、死ぬまで一人で生きていけそうな気がする。自分でも気づかないうちに、掃除、洗濯、料理とテキパキとこなせるようになっていた。 毎日、仕事と家事を両立させている。
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