第二章 咲希-さき-

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母が亡くなってすぐは、目の周りに黒い斑点がある人が街ですれ違う度に振り返ったり、目で追ってしまうことがあったが、今は黒い斑点がある人を見ることにも慣れてきた。 また、霊を見ることにも慣れ、今では近寄ってきても何も思わなくなった。たまに家にまでついてくる霊もいるが、相手をしなかったら特に害はないので、いつも放置している。 しかし、怨恨を残し彷徨っている霊は時に悪さをしてくる。 ホームで電車を待っている時に、後ろから背中を押されて殺されかけたこともある。とは言っても、霊が見えるだけの僕は、そんな悪霊を除霊することなんてできない。せいぜい見たり、話をしたりするくらいである。 霊にはあまり自分から話かけたり、関わったりはしないようにしている。 見え初めて間もない頃の僕は、自分から積極的に話しかけていたのを覚えている。そのせいで付きまとわれた事が何度もあった。
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