第二章 咲希-さき-

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その頃の僕と比べると、精神面はもちろん、身体もジムや仕事で鍛えられたので、強くなっていた。 それに僕は一年後、結婚することも決まっている。二十八歳だから、結婚してもおかしくないくらいの年齢だ。 仲の良かった友人もほとんどがここ数年の間に結婚し、今は幸せな家庭を築いている。それに影響されたわけじゃないが、僕も十年付き合った彼女につい最近プロポーズをした。 プロポーズをした時、彼女は「おそい」と頬を膨らせていたけど、涙を流して喜んでくれた。今日も、その彼女を迎えに家の近くまで来ている。 彼女の家の近くの公園には、大きな桜の木があり、ちょうど見頃を迎えていた。公園では、若いお母さんたちが、満開の桜の木の下で子供たちと遊んでいる。 この時期に、この場所でこの風景を見ることが、僕の楽しみの一つだ。
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