第二章 咲希-さき-

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咲希を乗せた僕の車は、ゆっくりと市街地へ向かって走り出す。今日は結婚指輪を購入するために、二人で百貨店に行く約束をしていた。 咲希の家から百貨店まではそんなに遠くはなく、十分くらいで到着した。 日曜日ということもあり、百貨店に入る車は多く、駐車場の入口には列ができている。 駐車券を取り、助手席にいる咲希に手渡す。駐車場の中も予想通り車でいっぱいだったが、三階に上がると端のほうに一つだけ空きがあったので、そこに駐車することにした。 「永笑、ほんと駐車するの上手になったよね」 「いや、前から上手だったじゃん」 「うそばっかり」 そんな会話をしながら車から出た僕たちは、一階にあるジュエリー売り場へ向かう。エレベーターに乗り階数表示の1を押す。
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