第二章 咲希-さき-

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ホテルの最上階が披露宴の会場になっていて、そのすぐ下の十四階がプランナーの仕事場になっている。 地下の駐車場に車を停め、エレベーターで十四階まで上がっていく。 エレベーターの大きな窓から街を見下ろしていると、咲希が子供のようにはしゃぎ始めた。 「きれーい! ほんとこのホテルって景色綺麗だよね! 嬉しい」 「咲希、もう二十八なんだし、ちょっとは落ちつけよ」 僕は笑いながら、咲希に冗談っぽく言うと、咲希はほっぺを膨らませてムスッとする。 そんなやり取りをしている間に、エレベーターは十四階に到着した。 扉が開くと、奥からスーツ姿のウエディングプランナーが近づいてくる。長身でオールバック。いかにもプランナーといった感じの男性だ。
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