第二章 咲希-さき-

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「あぁ、楽しみだなー結婚式。言っても、まだ十ヵ月以上も先だけど」 「うん、でも十ヵ月なんてあっという間だよ」 エレベーターでムスッとしていた咲希は消え、いつの間にかいつもの咲希に戻っていた。 咲希の家に着く頃、空は茜色に染まっていた。 「今日も送ってくれてありがとうね!」 「どういたしまして」 「あっ! そう言えば、今日買った指輪はめようよ!」 咲希は溢れんばかりの笑顔で僕に話しかける。 「結婚式の時でいいじゃん! 汚れたりしたらイヤだし。それに今はめている婚約指輪はどうするの?」 「あっ、それもそうだね」 咲希はハッとした顔で舌を出した。
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