第二章 咲希-さき-

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「それじゃあ、俺帰るから」 「うん! 気をつけて帰ってね」 助手席から降りようとする咲希の手首を握って引き止め、キスをしようと顔を近付けた。その時、咲希の目の周りに薄いホクロのようなシミが出来ていることに気づく。 「あれ? こんな所にホクロなんてあったっけ?」 「ホクロ? ほんと? そんなとこには無いはずだけど……」 「い、いや、俺の見間違えかも……。気にしないで。じゃあ、俺帰るから」 「うん、じゃあね!」 僕は咲希にキスをした後、車を発進させる。 車に向かって手を振る咲希がだんだん小さくなっていくのを、僕はバックミラーで見つめていた。 帰り道、運転しながら僕は咲希の目の周りにあったシミのことで頭がいっぱいだった。
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