第三章 死相-しそう-

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母の死以降、僕は人の顔を見ただけで、その人がいつ死ぬのか分かるようになった。 最近では、目の周りの斑点の色の濃さを見るだけで、何日後に死ぬかもわかるようになっている。 目の周りの斑点のことを、いつからか僕は【死相】と呼ぶようになり、それが見えるようになって十三年になるが、死相が見えた人に、死期を伝えたことは今まで一度もない。 自分がもうすぐ死ぬなんて知りたくないと思うし、伝えたところで助けることなど出来ないからだ。 これまで死相が出た人は、確実に亡くなっていった。 僕の母の親戚の叔父が急性心筋梗塞で亡くなり、その後すぐに咲希の祖父が胃癌で亡くなる。そして親友の母、同窓会で再会した友人と死相が出た人間は次々と亡くなっていった。
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