第三章 死相-しそう-

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「あんたほんと邪魔なんだよ! 母親と一緒に死ねば良かったんだ!」 その言葉の後、少年が殴られているような音が聞こえて来た。 三分くらい経った時、扉を閉める音が聞こえたので、そっと窓から部屋を覗いてみると、少年は頬を押さえて泣いていた。 僕はまた窓をコンコンと叩き、スマートフォンに文章を打ちこんで少年に見せる。 【ここから出よう! 君にとって僕はただの他人にすぎないけど、君のお母さんにとっては、君が全てだから】 その僕が打った文章を見た少年は、泣きながら頷いた。 少年に窓の鍵を開けてもらい、僕は少年を抱きかかえるようにして外に連れ出そうとする。少年を持ち上げた時に気づいたが、体重は三十キロあるかないかだろう。年は十歳はいっているとは思うが、その軽さに驚いた。 そして、少年を窓の外へ連れ出すことに僕は成功する。
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