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外に少年を連れ出すことに成功した僕は、音を立てないようにベランダを移動する。
「お兄ちゃんが、先に下に降りて君を受け止めるからここで待っていて」
僕が小声で少年に語りかけると、少年も無言で小さく頷いた。僕は塀の上に右足を移し、ベランダから塀へ飛び乗る。
しかし、体勢が崩れてしまい、道路側へ降りるつもりが、庭の方へ勢いよく尻もちをついてしまった。
『ヤバい、着地に失敗した……』
そう思った瞬間、一階の窓ガラスが、ガラッと言う音を立てて開いた。
「誰なの?」
先程まで少年に暴力を振るっていた女性が、窓を開け叫んで庭を見渡した。
咄嗟に僕は、庭にあった大きな木の陰に隠れたが、女性が庭に出てきたら見つかるのも時間の問題だ。しかし、女性は窓に手を掛けたまま動く気配がない。
ただひたすら、庭を睨むように見渡している。
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