白い繭

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~三日目~  目が覚めた私はゲーム画面に映る自分のいた場所に目を疑った。そこは会社のビルの入り口だった。そして気になる物に目が映った。その近くに私の腰ほど高さのある白い繭が立派に居座っているのである。昨日もこのゲームをやった時にはこの繭は確かにあったが、小さく何個かあってただの飾りだと思って見逃していた。仕事があるのでデータを保存してゲームを切った。身支度を済ませて私は家を出た。そして最寄り駅から電車に乗って仕事場であるビルへと足を歩めた。ビルの入り口で足を止めた。そこには私のゲーム画面で見た白い繭がそこにあった。私は何もせず自分の所属する仕事場に向けてエレベーターに乗り込んだ。白い繭については朝礼でも上司の口から報告された。  正午の時計の針が頂点を立った頃、長い昼休みとなった。私は先輩や同僚たち四人に誘われてビル内のレストランへと足を歩めた。 「お前ら、朝礼で聞いた白い繭のこと知っているか?」と先輩はみんなに聞く。 「あれ、触ってみたんすよ。カチコチだったんすよ」 「おい、小林<こばやし>君。口の利き方気を付けろよ」 「まあまあ。せっかくの昼飯なんだし気にするな。仕事では二人とも言葉使いいいんだからね。もちろん、優秀な彼もな」  先輩と同僚たちの会話に突然話を振られる私。何か言わなくては。 「優秀だなんて滅相もないです。……先輩たち、昨日発売された『HORROR REAL』っていうホラーゲーム知ってますか?」 「は?そんなのあったっけ?」と小林。 「お前に昨日SNSしたあれだよ。CMでもやってるし」 「昨日してないじゃん」  私を不思議そうに見返す彼。私は急いでスマホを取り出しそれを見返す。そこには彼の言う通りに何も記録がなかった。他の人に送ったのかもしれないと思って見てみるが、どこにも記録されていなかった。 「……ザードですよね」 「は?何これ?」  同僚の言葉を遮って声を発したせいかそこいいた四人は私を見る。ネットで『HORROR REAL』を検索してみたもののその言葉に引っかかったものはなかった。 「そろそろ時間だ。引き上げよう」  もう一人の上司に言われてご飯を済ませて仕事に戻った。  仕事の帰りに白い繭に触れてみたが、確かに硬かった。今日はさずがにあのゲームをやる気にはならなかった。
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