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目が覚めた。
寝てたのか。
テレビの音が聞こえている。
昼のワイドショー。
今日母親はパートに行かない日か。
俺は眠ってたのか。
もう震えていない。
俺の足。
足の震え。
踏切を覗いてみる。
何事もない。
やせっぽち。
大丈夫だったのか。
よかった。
給食袋は。
取りに行ったのか。
勇気のある奴だ。
よかった。
カタン。
トレーの音。
扉の向こうにトレーが置かれた音。
配給だ。
昼飯。
部屋の扉の向こうに俺の昼飯が置かれた。
扉を開けてみると昼飯はうどんだった。
鍋焼きうどんというやつか。
ベッドの上に持ち込む。
早速食べる。
アツアツであり、ほくほくであり、うまうまである。
俺はうどんが好きだ。
食べたらトイレに行きたくなった。
なのでトイレに行く。
俺が部屋の戸を開けるのは食事の出し入れとトイレだけだ。
シンプル。
俺以上にシンプルな人間はなかなかいないんじゃないか。
そして。
シンプルなだけに、終わるのもシンプルだ。
配給が終われば、俺も終わる。
配給が尽き、俺も尽きる。
現代のサバイバルはそこで終わる。
俺の人生もそこで終わる。
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