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俺は。
やせっぽちのガキのことを思い出していた。
やせっぽちのガキ。
あれは俺だ。
まさに俺だ。
ガキの頃の俺だ。
そしてデカいガキ。
デカいガキは柳原だ。
奴は柳原だ。
俺は。
復讐をしなければならない。
俺の人生は。
柳原に追い込まれた。
柳原によってこの部屋に追い込まれた。
四月生まれの横柄で嫌な奴によって、俺はここに追い込まれたのだ。
だから俺は。
今こそ復讐する。
柳原に対して復讐する。
柳原が作り出した俺の運命に対して復讐する。
相手はガキだ。
赤いジャンパーのガキ。
デカい。
しかしガキだ。
ガキならやれるだろう。
ガキなら。
こんな俺でも。
やれるだろう。
殺れるだろう。
そして。
やせっぽちは救われるだろう。
あの外人。
きっと早生まれのあの孤独な外人のやせっぽち。
俺は。
断ち切る。
この連鎖を。
このしみったれた踏切で起こるくそったれな弱肉強食の連鎖を。
どうせ配給が無くなれば絶たれるこの命ならば。
くそったれな連鎖を断ち切るために使ってやろうじゃないか。
と、
このような闘志というかやる気というか使命感というか、
そんなものが沸いてきたのは、俺がこの部屋に籠るようになって以来初めてのことだった。
おお。
と俺は我ながら感心した。
こういうのを生きる意義というのか。
なるほど。
日記に書いておこう。
と俺は思った。
日記なんて書いたことないのだが。
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