さよならさん

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 「そう?じゃあゆっくり帰ってるね」  私がそういうとミカは一度振り返って手を振りながら「じゃあね、とりあえずバイバイ」と言った。私とハナエもそれにこたえて手を振ってそれから歩き出す。  大した距離じゃないしミカは運動部に入っているから足だって速い。すぐに追いついてくるだろうと思っていた。  でもミカは私たちに追いついてくることはなかった。どんなに遅く足を進めても途中で少し待ってみてもくる気配はなかった。  「何やってんだろうね」  ハナエがなんとなく言った。私はあいまいにうなづいて後ろからミカの足音がするのを期待していた。  そして次の日。ミカが事故で死んだことが分かった。  ミカが忘れ物を取りに行って校門をでた直後、耳にイヤホンを付けて自転車に乗っていた男性と衝突し死んだと担任の先生から聞かされた。  それと聞いた瞬間に私とハナエは顔を見合わせる。お互いに青い顔をしていてハナエもいつもの好奇心は感じられない表情だった。  昨日話していたさよならさんのことと言いあまりにもタイミングが良すぎていた。だが偶然ともいえる。いや、本当に偶然か。それとも本当にさよならさんとは存在するのか。     
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