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それから、僕は当てもなくフラフラと歩き続けた。
始めは公道沿いに歩いていたようで、車が横を走っていたが、気が付いたら道は田舎道になっていて、車どころか僕のほかに人っ子一人歩いてはいなかった。
どれくらい歩いたんだろう。
辺りはすっかり暗くなり、先ほどまで聞こえていたカラスの鳴き声もなくなっていた。
お父さんは、なんでお母さんを殺してしまったんだろう。
どうして、そんなになるまで激しく憎しみ合わなければならなかったんだろう。
他の家は、なんで仲良く円満なんだろう。どうしてうちだけこうなんだろう。
僕の出来が悪いからだ。僕が同級生にいじめられるような弱い人間だからだ。
全部、僕が悪かったんだ。
「お父さん、お母さん、ごめんなさい・・・」
そうつぶやくと、涙が不意にあふれてきた。
やがて、ポツリ、ポツリと雨が降ってきた。
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