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窓の外を見ると、自家用車からタンクローリーまで、様々な車が行き交っていた。
皆楽しく日々を過ごしているんだろうな。
僕ばっかり何でこんな惨めな思いをしなければいけないんだろう。
そう思ったが、涙は流れなかった。そんな気力すら、もう残っていなかった。
お父さんが車を走らせる、シャーという無機質な音だけが、僕の中に飛び込んでくる。
お父さんの運転は、前の車をあおったり、急にブレーキを掛けたり、まかり間違えば事故でも
起こしかねないような危険運転だった。
その運転を見るだけでわかる。お父さんがいかに暴力的な人間であるか。
何で、僕もお母さんも、こうなる事を予想できなかったんだろう。
何で、もっと早く、誰かに相談できなかったんだろう。
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