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しばらく走ったところで、思わぬチャンスが訪れた。
父がパーキングエリアに入ったのだ。
トイレがはずんだらしい。エリアの駐車場に車を止めると、
「ちょっとトイレに行ってくる。帰ってくるまで車の中に居ろ」
そう言って僕を車に残して、トイレの中に入って行ってしまった。
(今のうちに逃げなきゃ)
僕はお父さんがトイレに入ったのを遠目に確認すると、一目散に車から飛び出した。
夢中で走って、隅っこに止めてあったお父さんの車の対角線上、最も遠い所にあるトラックの
陰に隠れた。
(何とかして、ここから抜け出さなきゃ、僕はお父さんに殺されてしまう)
そんな事を考えてブルブル震えながら縮こまっていると、トラックの主が帰ってきた。
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