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「お前、ここで何してるの?邪魔だからどいてほしいんだけど」
トラックの主は、冷たく僕にそう言い放った。
僕は慌ててそこから立ち去ろうとしたけれど、お父さんの事を思い出し、必死に声を振り絞って言った。「ぼ、僕は、その・・・知らないおじさんに車に押し込められて、ここまで連れてこられてしまったんです。助けて下さい!」
「はぁ?なんで俺が・・・」そうトラックの主が言いかけた時、恐ろしい形相をした男が走ってこちらに向かってくるのが彼の目に入った。
お父さんだ。
僕は必死に叫んだ。
「助けてください!お願いします!」
トラックの主もさすがに根負けしたらしく、「わかった、助手席に乗れ」と言ってトラックに乗せてくれた。
お父さんはこちらに向かって何か叫んでいたが、トラックの中からは声は良く聞こえなかった。
事情を察してくれたトラックの主は、何も言わずに強行発進し、お父さんはトラックが相手ではどうにもならないと思ったのか、追ってこなくなった。
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