鐘の音に想う

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「寒いっ!」 「ほらまた短い・・・・・・」 「お前の些細な動作で私の身体は芯から凍えそうだ・・・・・・」  男はフフッとらしくない笑いを浮かべて、「それでいい――」と頷いた。  散々私の言葉をあれだ、これだといいながら眉間に口付けを落としていた男が、急に無口なったかと思うと、顔のあちこちに触れるだけの口付けを降らせ始めた。 「どうした?」 「ん、いや・・・・・・。やっぱりおまえはリチャード様のためならなんでも出来るんだなと思っただけだ」  やけに切ない瞳で見つめてくるが、意味がわからない。 「なんだ、リチャード様に焼きもちか?」  茶化すだけのつもりだ。それを素直に頷くこいつに多少の愛らしさを感じる。  馬鹿だなぁという、そんな愛らしさだ。腹筋も背筋もゴリゴリに割れている男に可愛いなんて言葉は似合わないけどな。  上から見つめる男に手を伸ばし、顔を寄せてきたから、褒美のつもりで軽く口付けてやった。  ブルっと武者震いのように身体を震わせた男の何に火をつけたのか、臨戦態勢になった男の証が私の身体に触れた。  熱さに、焼かれそうだ――。 「好きなんだ――、好き――、好きだ」  私を寝台に縫い留め、男は想いの全てを私にぶつける勢いで口付けてくる。  苦しくて、男の胸をドン! と叩いても、男の舌は私に絡みつき、交わるように蠢く。 「もうっ、止めろ――っ」  自由にならない手は握りしめられていて、じっとりと汗を掻いていた。 「止めろは、もっと――っていう意味ってわかってる――?」 「意味は――っん・・・・・・っ」 「反対の言葉でって言ったろ――?」  そう言えばそんなことを言っていたなと、空気が薄くなってぼんやりした頭の中で思い出す。 「も、もっと――っ!」  ならば、もっとしてくれと願えばいいのかと、閉じていた目を開けた先に嬉しそうな男の顔があって、本当に止めてくれるのかと疑問を感じた。 「何だか嘘でも求められているようで、嬉しいもんだな」  もう、この男の口を閉じさせたい。吐きそうだ、甘すぎて砂をザーッとバケツ一杯に。  私の嫌そうな顔を撫でる手がありえないほど優しくて、「ん・・・・・・」と声を漏らしてしまった。 「ここに俺を挿れる――」  腹を抱え、私をうつ伏せの状態にして腹の下に枕を入れられる。
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