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「あっ・・・・・・」
グイグイ押して来るので痛みと違和感で笑っている余裕がなくなる。
「お前は、本当に雰囲気とかぶち壊すよな」
「痛っ、ちょ・・・・・・待って。私が悪かったから油を使ってくれ」
私の先走りを絡めているとはいえ、本来そういうことに使わない器官だ。ないならともかく、薔薇とかの匂いがする油があると言っていたのだから使ってほしい。
「もう、笑わないか?」
「多分・・・・・・」
突然やってくる笑いの神はいつ来るかわからないが、とりあえず今の笑いのツボは痛みでどこかへいったので、頷いた。
「お前の爆笑するところなんて、レアなんだ。いつも綺麗な顔を顰めているからな。でも今は・・・・・・、爆笑されると、馬鹿にされているような気がして・・・・・・」
いつも元気な自信に溢れたこいつが、情けないくらいの声を出すなんて・・・・・・と、今更ながら私はこいつのギャップに弱いのだと気付いた。
「すねるな・・・・・・」
チュッと音を立てて唇にキスしてやると、目元を少し赤く染める。お前こそそんなキャラじゃないくせに、気持ち悪い。と、酷いことを思いながら何度かキスを続けた。
「好きだ――」
真剣な告白だって、私は受け取るつもりはない。
「知っている」
「愛してる――」
グイグイ攻めてくるこいつは本当に嫌な男だ。
「返すつもりはない――」
「知っている」
私の真似をする男だが、それが戯れでないのは瞳の熱さでわかっている。
「ここに・・・・・・受け入れるのは俺だけにしてほしい」
懇願のような要求。
「お前だって、今日だけかもしれない」
「それは・・・・・・、良くするようにがんばる」
唇は、それだけを言葉にして、男の指が油を纏い私の中に来た。
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