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 それでも、本当に全部嫌だとしか言い現しようがなかった。  明日が遠足なのも。  その遠足に、楽人が参加出来ないことも。  自分だけ参加しなくてはいけないことも。  それが当たり前と言い切る親も先生も。  楽人が何一つ不満を口にしないことも。  仕方ないとわかっているのに納得できない自分も。  全部、全部……全部。 「だからぁ、何もかも全部、嫌なんだって!」 「うん、わかった」  背中をトントンと打ちながら楽人は言う。  わかったって? 何を? そう問い質したい衝動を抑えて、歩人はダンゴムシのように体を丸めた。 「歩人? 隣に入れて?」  さっきまでとは違い、今度は毛布を揺らすように引っ張りながら楽人は自分の場所を確保しようとする。 「やだ」 「歩人ぉ」 「だって、だって……」  わかっていないくせに、わかったなんて言う楽人は嫌いだ。
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