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     ***** 「そっかあぁ、なるほどそういうことかぁ」  話を聞き終えた楽人はそう呟いて目を伏せた。  ついさっきまでじっと自分を見つめていた視線がなくなると、途端に歩人は不安になった。  きっと楽人は呆れてしまったに違いない。  どうしようもないことに腹を立てて、いやだいやだと繰り返す自分のことなど。  歩人はそろりと楽人に背を向けて丸まり、膝に頬を押し当て目を閉じる。  背中に楽人の動く気配感じた。どうやら楽人はこちらを向いて、同じように身体を丸めたようだ。  楽人はなんと言うだろうか。  身構えて待ってみたが、楽人からはなんの反応もない。  やっぱり。……そう落ち込む気持ちもある。 「――楽人?」  しかしそれを上回る、不安と予感が頭をよぎる。 「楽人……?」  もう一度声を掛けて、間を置かず今度は身を起こして振り返った。  眠っているはずもない楽人からの返事がないことが、とてつもなく、怖い。
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