76人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
「あれ? 何でもきいてくれるんじゃなかった?」
「それはそうだけど」
「それに教えて欲しい話は、それだけじゃないんだ」
楽しそうに楽人は話す。プールのことより無理難題じゃなければいいなと願いながらも、それでもまあ楽人が笑っているならいいか、とも思う。
「他には、なに?」
「あ、お願いきいてくれる気になった?」
表情をパッと明るくして、楽人は微笑む。その笑顔には弱いのだ。
「――わかった」
そんな楽人が見られるのなら、それだけでいいと思ってしまう。
「やった!」
毛布の中で小さなガッツポーズを作り、本当に嬉しそうに楽人は声を上げた。
その笑顔につられて、歩人も自然に微笑んだ。
「ね? 歩人、じゃあ明日は遠足楽しんで来てよ? 僕、話聞くの楽しみにしてるからね」
自然に浮かんでいた微笑みはその一言で固まってしまったが、結局どうやっても楽人に勝てる訳はないのだと、そう思えばぎこちなく頷くしか歩人に道はなかった。
最初のコメントを投稿しよう!