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意識が浮上するのを感じる。
――目が覚めるのだと思う。
懐かしい夢の中にいたこんな朝は、目が覚めた後の現実こそが悪夢なのだろうと気が重い。
二度寝してしまおうと試みたが上手く行かず、歩人は渋々目を開けた。
部屋の中はぼんやりと明るく、勉強机や本棚がうっすらと見えている。
布団から手を伸ばし、枕元の目覚まし時計を引き寄せ確認すると、時間はもうすぐ六時といったところだ。
目覚ましが鳴るまでにまだ一時間もある。
まだ朝は肌寒い時期だ。もう少し布団の中で微睡んでいようと考えない訳ではない。
しかし目覚める前に見ていた夢が、歩人を急かす。
「よし」
小さな声でそう呟くと、歩人はそろりとベッドから抜け出した。
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