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      *****  いつもより早めの朝をいつも通りの日課をこなし、バス停近くのコンビニで仕入れたサンドイッチを齧りながら歩人はベンチでバスを待つ。  もう一つの日課として毎朝朝食を調達するコンビニは、三ヶ月ほど前からバイト先でもある。  この辺りにはスーパーマーケットも大手のコンビニチェーンも出店しておらず、夕方から入るバイトは毎日なかなかハードだ。  バスの時間を確認するため歩人はサンドイッチの最後の一口を頬張ると、腰を浮かせて時刻表を見つめた。 「まだ十分もあるし」  独り言で愚痴って再びベンチに腰を落ち着けると、コーヒー牛乳を一口啜る。  そこで背後から近づいてくる足音に気が付いた。  別にベンチを占領していたわけではないが、座る位置を気持ち端に座り直し、歩人はバスが来るべき方向に視線を投げた。  その時だった。 「楽人……?」  本日二度目、そう呼ばれたのは。  その声は当然母親のものではなく、まったく聞き覚えのない男のものだった。  心臓が大きくはねて、どう反応すべきか考えたのは一瞬。  迷うことなく無視すると決めた歩人は、コーヒー牛乳のストローに口をつけて俯いた。
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