"探索”

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光冴(こうが)は、2週間ずっとここに居るのかい?」 私は、向かいに座る光冴に向け聞いた。 前々から気になっていたのだ。 いくら仲が良かろうと、仮にも一族の(おさ)が、友人の誕生日の2週間も前から一緒に泊まるだろうか? なにか引っかかる。 「おう。お前の大事な節目だしな。 あと、最近、側近(そっきん)のジジィ共がうるせぇ。」 光冴が溜息混じりに答えた。 「あぁ、五反家の方々は少々押しが強い傾向がありますからね。 いくら御当主でも、お若い方にはグイグイとくるでしょう。」 と、爺やが会話に入る。 「爺やが、向こうの家と関わる事なんてあるのかい?」 私が尋ねると、爺やは「勿論」と、 「社会に影響力の大きな家々は、何かと関わり合う事が多いですので。良くも悪くも。」 と、答えた。 その皮肉めいた言い方には、家同士の暗黙の抗争が見てとれた。 「まぁ、こっち居てもそんなやる事無いんだけどなー。」 と、食後のデザートをつつきながら嘆く。 すると、 「あ、そういえば」 爺やに向かって 「ここデッカイ書庫あったよな? あそこ入り浸っていい?」 と、尋ねた。 流石、大きな屋敷には大きな書庫が付き物らしい。 「勿論でございます。 では、明日の朝、ご案内致します。」 爺やのその言葉を聞いて、満足気になった光冴は勢い良くデザートを食べ終え、 「よっし!早く寝て、明日書庫一緒に行こうな!」 と、席を立った。
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