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"準備”
思いっきり、ノリと勢いでターゲットに近づいたのが、2日前。
晴れて、合意の上で入れ替わりが出来るようになった訳だが、翡翠の『すぐにでも入れ替わりたい』と、いう要望を抑え込みつつ、コチラにも事情があるので、暫く準備期間を貰うことにした。
入れ替わり決行は、明日の明朝4時と決まった。
準備と云うのは、ヨハネスとの口裏合わせである。
私から、ヨハネスに頼んだのはおおまかに三つ。
一つ 翡翠を現し世の表側に行かせない。
一つ こちら側の情報は一切教えない。
一つ 私とヨハネスの、連絡手段を用意すること。
ヨハネスには、翡翠と共に裏側の現し世にいてもらい、彼の『護衛』という名の監視をして貰う。
そして、どんなに翡翠が尋ねてきても、私の許可なく無闇に情報を開示しない。
こちらにとって不利な情報が渡ってしまうと困るからだ。
予め決めておくことも考えたが、いつ状況が急変するか分からない。
いざとなれば、裏側に閉じ込め続けて期限を迎えればいい。
では、どのように許可を得るのかと云えば、そこはヨハネスの手配してくれた手段である。
原理はよくわからなかったが、互いの頭の中だけで会話出来るというものだ。
俗に言う、念話だろう。
これであれば、何時でも何処でも、何があっても対応できる。
幾ら翡翠が協力的であろうとも、油断は出来ない。
彼に一番知られてはいけないのは、彼が表側に来れること。
私の邪魔をされたくないし、いざとなった時、強行手段に出ても止められないようにしたい。
何より、表の世界で2人が同時に存在すれば、周りは当然混乱する。
消える側は良いかもしれないが、残される側にとっては、混乱状態で残されるのはだいぶキツイ。
しかも、パラドックスだの何だのと、新しい問題が起きかねない。
ヨハネスと、最後の最終確認をしていると、眩しい陽の光が目に入ってきた。
気づけば、窓の向こうからは太陽が頭を覗かせている。
4:00だ_
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