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さっきも中庭で思ったが、纏っている雰囲気が、なんというか、独特だ。
パッと見は、いかつく、大きな体つきが威圧感を感じさせているにも関わらず、優しさの滲み出るタレ目と言葉を交わすと判る、温和さが、彼の周りに人を寄せ付けていた。
また、飴が好物な様で、常に口の中には棒付きキャンディが入っている。
口調も、ゆったりとしており、低く心地の良い声がよく響く。
感情の起伏はあまり激しい方では無いようで、『ワッ』と驚かしてみても、
「わぁ、驚いた。」
と、棒読みかの様なリアクションが返ってくるだけだった。
本人曰く、本当に驚いているようだが、あまり表情にも言動にも出ない為、他人から見ればまるでわからない。
たぶん、世の女子はこれを『ミステリアスで素敵』とか言って、またチヤホヤするのだろう。
私は、翡翠の立場であるせいか、良い友人としか思えなかった。
そうこうしているうちに、実家が近づいて来たようで、窓から大きな屋敷の一端が垣間見えた_
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