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「みんな落ち着いて。あの犯人は殺人狂なんかじゃないよ」
「そんなの分からねぇだろうが」
「仮に殺人狂だとしたら、もう既に何人かが撃たれているハズなんだ。でも撃ったのは脅しの1発撃っただけ。つまりね、通り魔のような男ではなく、明確な意思を持っている理知的な人物だと言えるんだ。綿密に計画し、一身を賭しての要求を企んでるようなね」
「こういう時の要求って、大金とかだろ。他に何かあんのかよ?」
「例えば、法律や政策に反発した政治的な発言をする。中継されれば多くの人に聞いて貰えるからね。他には……そうだなぁ。家族の手術代を払えないから、僕たちを人質として受けさせるとか」
「そんな良いヤツなもんか。どうせ金目的だろ!」
「身代金目的なら、逃走経路の事もしっかりと考えるはずだよ。さっきも言ったけど、学校は袋小路なんだ。お金なんか手にしても逃げられないよ。だから目的も利己的なものじゃなくて、もっと、仁義にまつわる動機だと考えて良い」
「行き当たりばったりで乗り込んできたクソ野郎かも……」
「そのセンもないかな。拳銃は簡単には手に入らないからね。無計画の犯行なら、もっと入手の容易い包丁やナイフを使うハズさ」
「……そ、そうかも知れねぇけどよ」
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