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推論とはいえ、ある程度の筋が通った説明を前にして、懐疑的な生徒は押し黙った。
一応は納得したようである。
その以降は場が静まるかと思われたが、質問者が交代しただけだ。
今度は気丈そうな女子生徒が『名探偵』に問いかけた。
「ねぇ、東郷くん。私も聞いていいかな……?」
「ノンビリと話す時間があるかは不明だけど、どうぞ」
「ジッとしてる方が安全というのは何故? 犯人は今頃油断してるでしょ。無防備に戻ってきたところを一斉に襲えばさ、私たちは助かるじゃない」
この質問にはいくつもの賛同の声があがった。
だが、東郷青年は首を横に振る。
どれほどの反対意見が出ようとも、支持する気はないという素振りであった。
「一見安全なようで、そこそこ危険な解決策だよ。最も死人が出やすい作戦だと言って良い」
「どうしてそう思うの?」
「まず知って欲しいのは、拳銃で正確に相手を撃ち抜く行為は、とても難易度が高いという事だね。火薬の爆発による反動ってのは想像以上に激しいもので、当然狙いも反れるんだ。動く的に当てるのは簡単に出来る事じゃないんだ、ドラマみたいにはね」
「それなら、やっぱり闘った方が……」
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