誕生!僕らの名探偵

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生徒たちは、特に東郷は緊張の面持ちで聞き入った。 いったい犯人は何を求めているのか。 それが今現在、最大の関心事であった。 ーー人質の解放だと? ふざけるな! それよりも10億円と大型ヘリを早く持ってこい! それから保志井ナコちゃんを連れてくるんだ! ーーすぐに対応はできない! それよりも人質だ! 全員が難しければ、病弱な生徒だけでも解放しろ! ーーやるわけねぇだろ! 10億にヘリ! それから保志井ナコちゃん! ナコちゃんの衣装はセカンドシングル『ロリ巨乳と呼ばないで』のヤツだからな! 絶対に間違えるんじゃねぇぞ! 外の喧騒とは相対して、レクリエーションルームは静けさが漂っている。 だが、単なる静寂ではない。 怒りと呆れによる無言の重圧がトグロを巻いているようであった。 その標的の第1はもちろん犯人だが、第2は名探偵かぶれの青年となる。 「お前さ、犯人は逃げられない、なんて言ってたよな。ヘリなら逃げられんじゃん」 「うん」 「政治だの家族だの言ってたけど、金目的じゃん。10億円とか言ってたし」 「うん」 「ねぇ、ホシイナコって聞こえたけどさ。人の名前? もしかして有名人?」 「あぁ、女子なら知らねぇか……。最近、雑誌とかに出るようになったアイドルだよ」     
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