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立川駅へ向かう道中は、土曜日の午後だというのに割と混雑していなかった。
「山崎、ちゃんと手袋持ってきた?」
「おうともさ。ほれ」
意外にも指定通りの白い手袋を差し出した山崎は、右手だけにそれをはめて額に指だけくっつけるようなポーズをとったが、わたしは無視した。
「金剛寺のそれは軍手だね。白いね」
「あの、いけなかったでしょうか」
「白い手袋って指定だもんね。ううん、わたしは怒ってない」
「白いな、こんちゃん」
真顔で無言のまま立川駅に向かう三人は、なんとなく意思疎通が綺麗に図れたような気持ちになって、ひたすら歩くのだった。
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