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雨さんさん
真・帰宅部の部室を確保した翌日は、あいにくの雨だった。
しかし、新たな一歩を歩めた僕の心は晴れ晴れとしていた。
ガラガラ
「やー、健一くん。
今日も芸術活動は順調かね?」
放課後、いつものように先に美術室で絵を描いている健一くんに声をかける。
「うん、なんだか昨日の木島先生との一件で、僕の心の穴が埋まったみたいで、筆が今までよりサラサラ動くだ。」
健一くんは、昨日の僕と木島先生とのやりとりの中で、本当は誰も来ない部室は少し寂しかったと言っていた。
きっと、僕のような者でも、誰かと関わりを持てたことが、健一くんの寂しい心を埋めてあげることが出来たんだろう。
「そうか、それはよかった。
ちなみに、昨日君が言ってた、真・帰宅部への入部は本気なのかね?」
これも昨日、健一くんから言われたことであるが、掛け持ちでもいいのなら真・帰宅部に入部したいと申し入れをされた。
「うん、田中くんが良いのであれば、僕も入れて欲しいな。
僕なんかが入っても、なんの役にも立たないと思うけれど。」
頭をかきながら、少しうつむいて健一くんが言う。
「何を言う。
昨日の健一くんの一言がなければ、この部屋を使わせてもらうことは出来なかっただろう。
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