雨さんさん

4/7
前へ
/61ページ
次へ
そんな先生に近づくと、僕は「ちょっとよろしいですか。」と声をかけた。 しかし、先生は「えーと、これはこうだから。」と、何か考え事をしている素振りをしてノートにペンをトントンとあて、こちらに気づかぬフリをした。 僕は仕方なく、少し大きめな声で話しかける。 「木島先生! 真・帰宅部顧問であられる木島先生! 少しお話よろしいでしょうか!」 さすがにその声の大きさと内容に、先生も僕を無視できずに振り返る。 「バカ、そんなに大きな声を出すんじゃない。 それに、俺がいつお前の部の顧問になったんだよ。」 僕らの会話に、他の先生が何人かクスクス笑った。 「昨日、美術室を使わせくれると承諾を得た際に、先生は顧問に就任してくれたんではないのですか?」 僕はさも当たり前のように聞いた。 「いや、部屋は使ってもかまわんが、顧問に就任するとまでいってないだろ。 それに、まだお前しか部員はいないんだろ?」 その質問返しに僕はニンマリとして答えた。 「健一くんが、うちの部を掛け持ちしてくれると言ってくれました。」 先生は僕の言葉に頭を抱えた。 「あいつ、そんなこと言ったのか。」 「はい、ですから後一人でも入部が決まれば人数は三人になります。 そうすれば人数の問題はなくなりますよね?」     
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加