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そんな先生に近づくと、僕は「ちょっとよろしいですか。」と声をかけた。
しかし、先生は「えーと、これはこうだから。」と、何か考え事をしている素振りをしてノートにペンをトントンとあて、こちらに気づかぬフリをした。
僕は仕方なく、少し大きめな声で話しかける。
「木島先生!
真・帰宅部顧問であられる木島先生!
少しお話よろしいでしょうか!」
さすがにその声の大きさと内容に、先生も僕を無視できずに振り返る。
「バカ、そんなに大きな声を出すんじゃない。
それに、俺がいつお前の部の顧問になったんだよ。」
僕らの会話に、他の先生が何人かクスクス笑った。
「昨日、美術室を使わせくれると承諾を得た際に、先生は顧問に就任してくれたんではないのですか?」
僕はさも当たり前のように聞いた。
「いや、部屋は使ってもかまわんが、顧問に就任するとまでいってないだろ。
それに、まだお前しか部員はいないんだろ?」
その質問返しに僕はニンマリとして答えた。
「健一くんが、うちの部を掛け持ちしてくれると言ってくれました。」
先生は僕の言葉に頭を抱えた。
「あいつ、そんなこと言ったのか。」
「はい、ですから後一人でも入部が決まれば人数は三人になります。
そうすれば人数の問題はなくなりますよね?」
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