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「先生、これは誰かに価値をつけてもらうためのものじゃありません。
その絵に価値がつくのであれば、それは部が想いの通り成り立ったときです。」
そう言うと、先生の手から絵を取り上げ、続けていった。
「ですから、この絵をコピーさせてもらい、校内に張ったり、ビラを配りたいんです。
そう言うことで、コピー機をお借りしたいんですが。」
先生は少し考えると、
「うーん、駄目だな。」
と言った。
"人斬り木島ノ衛門。昨日、健一お奉行にコテンパンにやられたのに、まだ懲りないか"
僕は仕方なくまた少し大きな声を発した。
「木島先生!
健一くんが、先生は月に一度しか美術部に顔を見せてくれないと、寂しがってます!
忙しいのは分かりますが、もう少し部に顔を出した方がいいのではないでしょうか!!」
その声に先生は慌てて、僕の口に手をあてる。
「バカ、またそんなことを大きな声で言うんじゃない。
俺を晒し者にしたいのか?
それに、ただでさえ、美術部は不要なんじゃないかってあちらこちらから聞こえてくるのに、そんなこと言われたら廃部になるかもしれんだろ。」
先生の言葉に、僕も少し言い過ぎたなと反省をした。
ただ、引くに引けぬこの事案に、ここぞとばかり先生に詰め寄った。
「分かりました。
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