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そのことは二度と言いませんが、代わりにこの絵をコピーさせて下さい。」
僕の詰め寄りに先生は仕方なく了承した。
「分かった、けどそんなに刷るんじゃないぞ。」
僕は「はい!」と言うと、早速コピー機に向かった。
絵をガラス面に乗せ、スタートボタンを押す。
試し刷りした物を一枚見ると、良い感じに色も出ていた。
「よし。」と、僕はそれから枚数を押した。
"えーと、1、0っと。
いや、待てよ、10枚で足りるだろうか?
校内に5枚張ったとして、残り5枚のびらではあまり宣伝にならないしな。
よし、もう一桁だ。"
僕はもう一度0を押した。
コピー機がガタンガタンと動き出す。
その様子を見ていた木島先生が、異変を感じるのは時すでに遅しで、百枚の絵がコピーされていた。
先生の様子から見るに、「あいつ少しだけって言ったのに、やってくれたな。」という雰囲気であったが、僕は百枚の絵を手に持ちながら、そんな先生に深くお辞儀をした。
木島先生の心は、外でふる雨のようさんさんと泣きたい気持ちだろうが、僕の中では「オーバーザレインボー」が軽やかに流れていた。
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